劇と宴、学園の秋

宴のヒドさと楽しさはそれなりに正比例する。それなりにな。


久しぶりにそんな飲みをした翌日、
自分は一宿の恩を伝えて班長さんの家を出た。

既に日は高く、爽やかな秋晴れのなか再び大学へ。
お世話になったサークル、今年の出し物は劇とのこと。
ただの劇ではない。その前に二文字付く。『推理』の二文字が。

様々な模擬店が連なり、活気溢れる大学構内の中奥。
そこに鎮座まします文学部棟。静かな佇まいを見せる箱の二階で、
密やかな(失敬!)劇は行われている。

今日は『復興』(勝手に思う)推理劇最終日ということで、
出演者並びに裏方さん達からはちょっと離れて、
ハイティーン(!)の後輩と少し話す。要するに、一年生ということだ。

劇開始まで時間があったので、少し模擬店を冷やかしに出る。
三十分と歩かないうちに、疲れてくる。
『若い男女が集まる空間』というのは、半年も離れるとそこにいるだけで
エネルギーを消耗することを学習する。

彼らは、精気を吸って生きているのではないか?

途中、昨日の破廉恥な宴に一緒だった某女史と出会った…と思う。
あれ、後だったっけか…?まあ、いい。疲れているのだから。

ぐるっと中庭を回り、
原価に対して値段が極度に高騰したうどんと、
原価に対して値段が極度に高騰した焼き鳥と、
原価に対して値段が極度に高騰したクレープ、
を食べる。

そして、頭がこんがらがってきた男一人に関係なく、推理劇は幕開する。