戦場のピアニスト感想

今日は映画の日なので上映料が1000円。
男性ならメンズデーで上映料が1000円。

双方が重なってしまって、果たしてお得なのか損なのか分からない
微妙な気持ちで『戦場のピアニスト』を見る。

以下、感想になります。
内容に触れる部分があるので、まだ未見の方など
余計な情報を入れずに見たい人は飛ばしてください。


全体的に細かい作りがしてあるというか、殊更に悲劇をあげつらうのではなく、
記録映画のように淡々と綴られているのが逆に悲しさを誘う。

ナチ兵による「人間狩り」や、リンチなどの映像は確かにあるけれど、
それよりも死体が石畳に野ざらしにされているような不衛生なゲットーの通りを、
主人公シュピルマンが歩くシーンの方がとても悲惨な気がした。
いつナチスの兵士達に目をつけられ、勝手な理由で殺されるかわからない。
明確な死の恐怖に怯え、精神的に磨耗していく人々が大挙して歩く狭いゲットーの通り。
勿論、通りにほったらかしにされた死体など誰も気を向けることなく歩いていく。主人公も然り。
そんな状態にまで追い込まれた人間たちとその状況を見るほうがつらかった。

よくテレビなどで流れていた廃墟のワルシャワシュピルマンが歩くシーンが出てきた時は、
分かっていたとはいえ、やはりぐっと来るものがあった。
それ以上に驚いたのは、その直後にシュピルマンが泣くでもなく喚くでもなく
一件の廃屋に入り食料を探し始めたことだった。
45年1月、ドイツ軍がワルシャワを放棄したとき、
生き残っていたユダヤ人はたったの20名だというから、
ナチスが侵攻した39年当時のワルシャワユダヤ人の人口は40万人ほど)
いかに過酷な状況だったか良く分かる。
ホント主人公、シュピルマンのサバイバーぶりには脱帽。

その後、ドイツ人将校ホーゼンフェルトに見つかり、ピアノを弾く所では
シュピルマンの思いがすべてこめられていて「泣ける!」と思ったけどコンタクトしてて涙が出ませんでした。

シーン一つ一つの細かい作りに目を見張った作品。
単純な「ホロコースト映画」ではないことは確かです。