引用で締めくくる

イカラ、カフェ、レビュー、ビアホール、ダンスホール
華麗なネオンサインのあらゆる渦の中に不思議な世界が広がっている。
あの幻想的なちんどん屋や滑稽な音楽は、ヨーロッパ人にとっては大きな魅力である。

しかし、これは本当に愉快だからやっていることなのか。
それとも、日本人は自分の不幸で他人を傷つけまいとして微笑することがあるが、
あれと同じで、そこには何か悲しみがあるのではないか。

西洋のダンスを踊る娘達は全く気の毒に見える。
彼女らワルツを踊り、ステップを踏んではいるが、個体の中には祖先の血と一緒になって、
全く異なったリズムが流れているのである。
外観はほがらかでいかなる場合も微笑していながら、その裏には哀愁と深い感傷を抱いている。

これが独自の文化を持ち、それを独自に表現している日本の姿である。

            ――「日本文化私観」より ブルーノ・タウト