『映像の世紀』

第二次大戦後、戦勝気分に沸くフランスはパリ。
ドイツ軍兵士と付き合っていた女性がリンチを受けていた。
頭を丸刈りにされ、おでこにハーケンクロイツの落書きをされ、
周りを取り囲むパリ市民の嘲笑を浴びた、
女性がカメラに向けた眼。


ポーランド強制収容所
連合軍によって解放された多くのユダヤ人が白黒のフィルムに映し出される。
表情を作ることさえ忘れてしまったかのような硬直した彼らの顔。
そしてその眼差し。


映像の世紀では様々な人間の業が映し出される。
それは決して心地よいものではない。
衝撃的な映像も多い。だが、生々しい映像よりも更に見る人を苦しめるのは、
様々な苦境に置かれた人々が、ふとカメラに眼を向けたときだ。
その眼。


絶望もない虚無に置かれたものの眼。