ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) (新潮文庫)
ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中) (新潮文庫)
ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫)


だれもが名前ぐらいは知っている偉大な禿男、ユリウス・カエサルルビコン川を渡る前までの人生を書いたローマ人の物語8、9、10巻。カエサルの人生を主軸にしているように見えるけど、やはり本筋は『ローマの歴史』。この3巻では偉大なる個人によってローマ寡頭制が塗り替えられていく、その過程の前半部分を見ることが出来るんです、よ、と…しかし、付き合った女性から全く恨まれない才能を持っていたって、すごいうらやましい。
ま、それはそれとして、塩野七生氏のこの作品、ただの偉人伝ではなく、人の行為にある背景をすべてを見透かしたような筆致が魅力。

他者に良く思われたいと思う心(虚栄心)と、他者に良く思われなくてもやり遂げなくてはならない想い(野心)の関係を、考えてみて欲しい。野心も虚栄心も、マイナス面のみに眼を向けずに、積極的な面に注目することによって。(第9巻154p)